Seki-Bizでは相談者のビジネスだけでなく、社会貢献活動を具現化するサポートも行っています。
Seki-Bizに相談に訪れる事業者は年間300以上。
その中から同じ志を持つ事業者を結びつけ、新たなコラボレーションが生まれました。
接待や会食、お祝い事に使われることが多い完全予約制の寿司屋「鮨 紺乃」
親方の近藤さんは、東京の寿司店や名古屋の人気店「寿しの吉乃」などで約20年間研鑽を積み、2013年に関市に自身の店をオープン。
吟味した食材を最高の調理法で提供する極上の料理と一期一会のおもてなしが評判となり、予約を取るのが難しいと言われるほどの人気店となった。
「それほど大きな店ではないので、どうしても予約が重なることもあります。
この日は予約をお断りしないといけないけれど、次の日は予約が全く入っていないこともあり、まさに水商売。
もう少し顧客数や売り上げをアップしたいと色々と手を打ってはいたのですが、なかなか成果が出ませんでした。
そんな中、Seki-Bizにお邪魔した方からの感想を聞いて『おもしろそうだな』と感じて、個別相談に伺いました」
Seki-Bizは、「鮨 紺乃」の強みが伝わる適切な情報発信を紹介しました。
ブログを書くことを勧められた近藤さんは、「私はマメな性格じゃないので、ブログをやる必要はないと思ってたんですけど、『これはやらなければ』と思いました」
記事を数本書いたところ、検索数が増加。相談してからわずか3ヶ月ほどで目標を達成する。
「Seki-Bizでは自分に考えつかないおもしろいことを色々と言ってもらえる。視点が全く違うんですよね」
売上げを達成した近藤さんは、次なる目標として「食育に取り組みたい」という思いを持っていた。
2人の子どもを育てる中で、好き嫌いや回転寿司が中心で職人が握った鮨を食べたことがない子どもが多いことに懸念をいだき、「命をいただくことの大切さや本物のおいしさ」を伝えたいと考えていた。
世間話程度にそれを口にしたところ、Seki-Bizから「どういう風にしたら実現できるか考えましょう」と、食育に積極的に取り組んでいる「あかつき幼稚園」を紹介される。
「あかつき幼稚園も、お坊さんである宮本園長が日頃から命のありがたみを説いている。お互いの思いを合致させてスタートすることができました」
第一回の「鮨育教室」は2017年4月に開催された。
子どもたちに馴染みのあるマグロを目の前で解体。
切り身にしたものを子どもたちが自ら握り、大将の握った鮨と食べ比べた。
「初めての取り組みだったので、あまり上手くしゃべれなかった」と近藤さんは反省点を口にするが、子どもや保護者からは大好評。
これまでマグロが食べられなかった子も「おいしい」と何個も口にしたそうだ。
第2回目は2018年2月、幼稚園最後の親子参観で年長園児とその保護者約60名を対象に開催した。
生きている鯛をさばき、頭はアラ炊きに、身はおぼろやお寿司に。頭から尻尾まで残さず使って調理した。
解体される鯛を見て、最初は「キャー」「ワー」と驚いていた子どもたちも、「途中から鯛の周りに集まってきて、目や頭をツンツンしたり少しずつ触れるようになってきた。
その後はみんなで鮨を握って、一緒に味わいました。
今回は子どもたちに命をいただいていることを伝え、だから残したり、好き嫌いをしてはいけないと感じてもらうことが狙いでした。
それがダイレクトに伝わり、とてもいい会になりました」
イベントの後幼稚園に提出されたアンケートには「将来の夢がお寿司屋さんに変わった」という子どももいたほど、大きな反響を呼んだ。
卒園という門出をお祝いする「ちらし寿司」の販売もSeki-Bizの提案で実施。
敷居が高いと思われがちな鮨屋との距離を近づけ、一般家庭の祝い事や特別な日にも利用してもらう入口として、祝いの席で好まれるお“寿”司で門出をお祝いするのが狙いだ。
「Seki-Bizから声をかけてもらい、「おもしろいね、やりたい」と。チラシ作りもサポートしていただきました」
あかつき幼稚園での活動が新聞やテレビで紹介されたこともあり、関市立旭ヶ丘中学校や岐阜医療科学大学、子ども食堂などからも次々と声がかかった。
Seki-Bizはこのプログラムを他の教育機関にも提供できるようサービス化することを提案。
内容をブラッシュアップし、ホームページを制作するなど情報発信サポートを一緒に進めた。(そのホームページはこちら)
「僕は関市の出身ではないので、地域とのつながりが弱い。
命をいただく大切さを伝えることはもちろん、こうした活動をきっかけに地域とのつながりを密にできたらとも思っています」
Seki-Bizは“ビジネス”をサポートするところだと思っていたので、自分の想いまでお手伝いいただけるとは思っていなかった」と話す近藤さん。
「雑談をきっかけに、Seki-Bizに道をつけていただき、やりたいことがどんどん広がっていきました。
鮨育教室は子どもたちの反応が面白いので、それが病みつきになっています。
普段はやらないことなので、難しいし、めんどくさい。
でも苦労した分だけ、やり切った後の達成感は大きい。
これからも楽しみながら続けていけたら最高ですね」
ライター:山田 智子